東京都臨床検査53巻1号
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特 集1.はじめに関東甲信越ブロック血液センター図1 患者名,疾患名,輸血歴,造血幹細胞移植歴,妊娠歴,輸血予定日(緊急性の有無),医療機関での検査結果等を聞き取りしています。これらの情報は,検査を進めるうえでとても重要な情報です。ABO亜型検査やRhD血液型精査は,3ヵ月以内の輸血歴や過去に造血幹細胞移植歴がある場合には,輸血や移植による影響を考慮し,検査は受託していません。また,血液疾患による抗原減弱は検査結果からは亜型と区別が困難なことから,患者情報が重要な役割を果たします。検査には,赤血球関連検査依頼書と検体の提出をお願いしています。それに加え,患者様本人からの検査への承諾と残余検体の利用に関する承諾の必要性から,日本輸血・細胞治療学会で作成した輸血関連検査委託に関する承諾書の提出もお願いしていますが,現在提出率は60%程度となっています。永沼 真一 輸血に関する依頼検査のうち,赤血球関連依頼検査(以下,依頼検査)は関東甲信越ブロック血液センターでは東京製造所と埼玉製造所の二か所で実施しています。依頼検査は,医療機関や一般の衛生検査所では実施困難な検査に限り,技術協力として受託しています。本特集では東京製造所における医療機関からの依頼検査について紹介します。 東京製造所では東京,神奈川,千葉の1都2県から依頼検査を受託しています。受託する検査項目は,ABO亜型検査,不規則抗体同定検査,RhD血液型精査,その他の検査があり,交差適合試験については患者の属する医療機関で行うことが求められていることから受託していません。検査件数はおよそ550件/年で,内訳は例年ABO亜型検査が約30%,不規則抗体同定検査が約60%,残りがRhD血液型精査とその他となっています。2023年度はABO亜型検査32%,不規則抗体検査65%,RhD血液型精査2%,その他1%となっていました(図2)。 検査依頼の際は,事前に電話での連絡をお願いしており,医療機関名,担当者名,検査依頼項目,4東京都医学検査 Vol. 53 No. 1関東甲信越ブロック血液センターにおける赤血球関連依頼検査について

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