東京都臨床検査53巻1号
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令和6年度 事業計画概要書 (事業年度 令和6年4月1日~令和7年3月31日) 1.総論新型コロナウイルス感染症が昨年5月より感染症法上の5類へ移行し、日常生活においてはほぼコロナ禍前と変わらない状況に戻りつつある.しかしながら医療体制においては制限緩和がなされつつも、次々と変異を繰り返すこのウイルスに対して、基本的な感染対策を継続しながら対応している状況となっている.また、医療界に影響すると思われる問題として本年から施行される「医師の働き方改革」および「物流業界の時間外労働規制」、団塊の世代が後期高齢者となり国民の5人に1人が75歳以上となり世界がこれまで経験したことのない超高齢化社会に突入する2025年問題、労働人口の減少および医療介護需要の増大による2040年問題と続く.われわれ臨床検査技師においてもタスク・シフト/シェアの推進、人工知能(AI)の開発およびロボット技術の開発などによる業務改革が必要となっていく. 令和6年度事業については、コロナ禍以前とほぼ同等の事業内容を計画している.日臨技からの委託事業であるタスク・シフト/シェア厚生労働省指定講習会についても、1,700名を超える会員の皆さまが修了しているがまだまだ需要に追いつけていない.より多くの会員の皆さまに受講していただけるよう当会としても努力していくが、今年度はより多くの方に参加して頂ける大規模講習会を一都八県の技師会と協力して開催していく予定である.倫理の高揚と資質の向上事業については例年多くの会員の皆さまにご参加いただいているが、今年度は、Webでの開催に加えて現地での開催も予定している.また、人々の健康増進、医療、公衆衛生の向上のための地域保健共催事業についても昨年に引き続き積極的に展開していく.一方、会員の皆様への情報提供である広報活動についてもホームページのリニューアル、都臨技公式LINEによる情報提供回数を増加し、会員の皆様へ多くの最新情報を迅速に提供できるようにしていきたい.また、昨年度から活動を開始した若手技師による若手技師のための事業を展開する青年育成委員会も今年度から本格的に活動を開始するので若手の技師の方の積極的な参加を期待したい. 上記の内容および方向性を踏まえて今年度の事業計画を策定する.事業計画を策定するにあたり当会の活動は「臨床検査技術の研究開発を図るとともに、臨床検査技師、衛生検査技師の倫理の高揚並びに資質の向上を図り、もって臨床検査の普及啓発を行い、人々の健康増進、医療・公衆衛生の向上に寄与することを目的とする」と定款に定められていることから、定款や各諸規程に基づいて計画されていなければならない.また事業収支は,昨年同様収支相償を基本とし各事業を展開していく.その内容は次からの各論に記載されている事業となる. 2.公益目的事業(1)臨床検査技師としての倫理の高揚と資質の向上の事業1)学術部研修会臨床検査技師の主な業務は、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて、診療の補助として採血及び検体採取並びに厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことである.近年の医療の高度化、専門化、多様化に対応するためには臨床検査技師の技術・知識の向上が必要不可欠であることから、臨床検査を受ける患者へのきめ細やかな検査説明や相談に対応して高水準の技術を提供し、患者満足度を向上させる臨床検査技師の育成を推進する. 学術部研究班は、当会会員に対して最新の医学的知識や技術を提供するための研修会等を開催し、検査技師の資質の向上を図る.全11研究班で新人向け初級研修会・実技講習会・資格更新講習会・多様な合同研修会等を企画し、若手技師の認定資格取得やベテラン技師のスキルアップ、最新情報の提供などを考慮して様々な状況にある検査技師に有用な研修会を開催し、専門領域の情報交換の場となる活動を進める.学術部研究班が主催する研修会は生涯教育の一環であり、今まで同様利便性を考えWebによる研修会を主体とするが、必要に応じて対面式の実技講習会も開催していく.また、見逃し配信として期間を決めて都臨技ホームページに研修会・講習会の内容を会員向けに配信していくことも考え、多くの会員が研修会に参加する機会が増える活動を目指す. 東京都医学検査 Vol. 53 No. 1115

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