木崎 直人特 集検査の目的と範囲はじめに尺骨神経運動神経腓腹神経感覚神経尺骨神経感覚神経多発神経障害:ギランバレー症候群・慢性炎症性脱神経炎(CIDP)など。多発単神経障害:血管炎など。単神経障害:手根管症候群・肘部管症候群・橈骨神経麻痺・腓骨神経麻痺など。正中神経運動神経脛骨神経運動神経11杏林大学医学部付属病院 臨床検査部正中神経感覚神経腓骨神経運動神経 神経伝導検査(以下NCS)は,皮膚上から末梢神経を電気刺激し運動神経及び感覚神経の活動電位を導出し潜時・振幅・伝導速度などのパラメーターにより末梢神経機能を評価する検査法である。NCSの目的は①しびれや筋力低下の訴えがあった場合に末梢神経障害が有るか,②病変は軸索障害なのか脱髄なのか,③部位は限局したものか広汎性かの判断,および④神経疾患罹患後のフォローアップ,などである。医師が自ら検査を行っている場合もあれば,検査技師に全面的に任せている場合など各施設で状況が異なる。検査技師が施行する場合は,患者からの症状を聞き実際に検査を進めていく過程で,医師から指示された表1 神経伝導速度検査の対象となる神経疾患の例表2 基本の7神経範囲内で必要と判断する検査を追加して実施するべきか,さらに医師に連絡して追加検査の依頼を受けるべきか悩まれる場合も多いと思われる。今回の特集ではNCSにおいて検査技師としてどこまで踏み込んで検査を実施すべきかを考えていきたいと思う。 NCSは,主に表1のような疾患が疑われる場合に行い,表2に示す基本7神経を対象とする。症状が出現した時期や現在の症状,筋力の程度など問診を行いながら,必要な部分に関して検査を施行することがベストであり,医師が実施することもあるが,電気生理を専門としている神経内科東京都医学検査 Vol. 53 No. 1検査技師として神経伝導検査はどこまで行うべきか
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