東京都臨床検査53巻1号
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図13 神経生理学会で推奨している馬場基準 神経伝導検査は,検査の追加や別法の利用など,技師の判断が非常に難しい検査である。 施設内でも熟練した技師と他の技師で同じ検査が出来ない状況もあり得る。特にuncommonと言われる特殊な神経に関しては,1回目は熟練技師が施行したことにより検査を報告したが,2回目は熟練技師不在のため検査が出来ないということも出てくる可能性があり,技術を統一することの難しい検査である。十分な教育訓練を行うことが第一であるが,最低限必要な検査手技については正確なマニュアルを作成して全ての技師が実施できるようにしたうえで,技師間での技術的な差異があることを臨床側にあらかじめ伝えておくことも必要であろう。施設内技師の力量の差についてまとめ17正門 由久,髙橋 修編:神経伝導検査ポケットマニュアル,医歯薬出版,2017医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.7脳・神経,メディックメディア,2011馬場 正之:糖尿病性神経障害の神経伝導検査,日本光電資料上下肢ルーチン神経伝導検査法,帝京大学医学部神経内科資料,2013 NCSは検査者の力量によって結果が左右されることも少なくない。まずは基本7神経を確実に臨床側へ報告することから始めることが重要である。そこで臨床側とコミュニケーションをとり,「この結果の際はこれを追加します」「この神経の検査は出来ない場合もあります」など,ある程度の取り決めを行っておくこともよい。 一方でNCSに関わる技師は,施設内での差を無くすように手技の統一を行い,講習会等でスキルアップを目指す必要がある。参考文献星野 哲:日本臨床神経生理研究会関東甲信越勉強会資料東京都医学検査 Vol. 53 No. 1

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