医療に対する国民のニーズの増大や多様化に伴い,チーム医療の推進,新規検査項目の登場,検査機器の高度化など臨床検査技師を取り巻く環境も大きく変化し,求められる役割や知識なども変わってきている。 2019年(令和元年)5月に,一般社団法人日本臨床検査技師会と一般社団法人臨床検査学教育協議会は連名で,現代のニーズに応じた「臨床検査技師教育の見直しについて」の申請書を厚生労働省に提出した。その結果,同年12月に「臨床検査技師学校養成所カリキュラム等改善検討会」が設置され,翌2020年(令和2年)4月に「臨床検査技師学校養成所カリキュラム等改善検討会報告書」が公表された1)。 その報告書を受けて,新たな臨床検査技師卒前教育に関する法令が改正され,結果として「臨地実習ガイドライン2021」が発刊された2)。 今回は改正に伴う臨地実習の変化の中で,より臨地実習を実質化するという目標に向けて行われる臨地実習前技能修得到達度評価について本学での取り組みを含めて述べる。28東京都医学検査 Vol. 53 No. 1>> 医療情報シリーズ「臨地実習」について1,人員配置・すべての教育施設において「臨地実習調整者」の配置が必要となった。・臨地実習施設においては「臨地実習指導者講習会」を受講した「臨地実習指導者」を1名以上配置が必要となった。2,単位数の増加 高度・専門化・多様化に対応するため従来7単位であった臨地実習は,改正後は指定校と科目承認校ともに12単位以上が必須となった。3,基本的行為の明確化 臨地実習において実施すべき基本的行為について,経験および修得すべき技術の範囲を明確化した上で,臨地実習において学生に必ず実施させる行為,必ず見学させる行為,および実施させることが望ましい行為,見学させることが望ましい行為として具体的に定められた(表1)。 ここで注意すべきなのは,表1の行為は学生が経験すべきことであり,臨地実習施設がすべてを満たす必要はない点である。たとえば,当該施設で「培養・Gram染色検査」を実施していない場合,教育施設側へ事前にそのことを伝え,教育施設側がその事情を把握した状態であれば,臨地実習生の受け入れは可能である。厚生労働省は表1杏林大学保健学部臨床検査技術学科 米谷正太はじめに改正に伴う臨地実習の変化第1回教育現場から~臨地実習前技能修得到達度評価~
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