POCTへの適用 POCTの追加要求事項が規定され,POCTを実施する検査室の環境整備やPOCT担当者との合意,POCT担当者への教育に関する要求事項が明確となった。品質管理主体 第3版では,「品質管理者」は1人であったが,第4版では,「品質管理主体」となり,複数名を割り当てることができるようになった。サンプル搬送 サンプル搬送の仕組みを定期的に評価することが必要となった。測定不確かさの推定 測定不確かさの推定が可能でない場合,および該当しない検査手順の場合,推定しない理由を文書化することが必要となった。データの管理及び情報マネジメント サイバーセキュリティを考慮することが必要となった。 ISO 15189に基づくQMS(品質マネジメントシステム)におけるポイントをいくつか紹介する。以下に代表例を記載する。【ポイント1:測定機器の状態確認】 測定機器において,ルーチン検査を開始する前にチェックすべき事項をメンテナンス表などにより,あらかじめ明確にすることで,確認漏れを防ぐことができる。2.QMS運用におけるポイント■開催日:2024年2月8日(木)■講 師:シスメックス株式会社猪俣 記一■生涯教育点数:基礎―20点 臨床検査室に特化した国際規格であるISO 15189の第3版が2012年に発行されてから10年目の2022年に,第4版が発行された。第4版に基づく臨床検査室認定については,公益財団法人 日本適合性認定協会(以下,JAB)にて2023年11月から受付が開始されている。 今回の改定では,要求事項の本質は大きく変わらないものの,章立てや構成の大幅な変更,要求事項の追加・削除が行われている。例えば,第3版では1章~5章の章立てが第4版では箇条1~箇条8で構成されている。これは,ISO 9001に代表される他のマネジメントシステム規格の構成に合わせた変更である。その他,遺伝子検査やPOCT検査の要求事項の追加,品質マニュアルを作成する要求の削除やSOP(標準作業手順書)に記載すべき項目の削除なども行われている。このように構成については大きく変わることから,第4版要求事項の理解とともに,手順書の改定も必要となる。 また,第4版では,リスクマネジメントに重きを置いたマネジメントシステムの構築も示唆されている点に注意が必要であり,例えば,不適合に対する是正処置フローにおいては,リスクアセスメントによる是正処理の必要性評価や優先順位の決定などを考慮する必要がある。 以下,その他,第3版からの変更点の一部について紹介する。46東京都医学検査 Vol. 53 No. 1 『ISO 15189第4版およびフレキシブルスコープ認定』1.ISO15189:2022(第4版)の概要およびポイント情報システム検査研究班研究会―要旨
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