Xrsは,呼気流速制限時増加することからEFL indexもまたsmall airway機能異常の指標として用いられます。実際,COPD患者において,デルタXrsは健康関連QOLとの相関性が示されており,また,気管支喘息患者においては,喘息の不安定性との関連性が示されています。 閉塞性肺疾患において,small airway評価は病態の重篤度や安定性を把握することに有益であり,広域周波オシレーション法による呼吸インピーダンス測定はsmall airway評価に有用です。 広域周波オシレーション法は幅広い周波数成分で構成されるパルス波を送出し,呼吸インピーダンスZrsを測定するものです。呼吸インピーダンスZrsは,呼吸システム全体の抵抗(呼吸抵抗)です。呼吸インピーダンスは,呼吸抵抗Rrs(狭義の呼吸抵抗)とリアクタンスXrsで構成されます。リアクタンスはさらに慣性成分イナータンスと弾性成分コンプライアンスに分けることができます。代表的な指標として,5Hzでの呼吸抵抗R5,20Hzでの呼吸抵抗R20,R5とR20の差R5-R20,5Hzでのリアクタンス,Xrs=0での周波数である共振周波数Fresです。 閉塞性肺疾患では,Rrs,Fresが増加し,Xrsが深くなる(X5が下がる)時にR5-R20が増加します(Rrsの周波数依存性)。この成因は解明されていないものの不均等換気も要因のひとつと考えられています。不均等換気はsmall airway機能異常によりみられることから,R5-R20をsmall airway機能異常の指標として用いる場合があります。また,リアクタンスの吸気呼気の差デルタ52東京都医学検査 Vol. 53 No. 1
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