東京都臨床検査53巻1号
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んかん薬が症状の改善に有効であったとの報告がある。神経発達症では,知的発達症では20-26%,ADHDでは30-50%,ASDでは30-60%の割合で合併しているとの報告がある。 一方で,神経発達症の患児はその行動や発達特性から,脳波検査がスムースに行えない場合がある。このため検査技師だけではなく他の医療職と協力し,患児が脳波検査に自らの意思で臨むことができるようアプローチすることが必要である。 小児看護では医療や検査,処置を受ける子どもが,心の準備ができる環境づくりをプレパレーションと呼ぶ。HPS(Hospital‌Play‌Specialist)をはじめ,看護師や病棟スタッフは子どもの気持ちを汲み取り,不安や誤解をとき,医療を肯定的にとらえることができるよう働きかけている。 当院の検査室では脳波説明パンフレットを作成した。検査を受ける子ども自身と家族が一緒に読むことで,検査への具体的なイメージと,こころの準備をすることを狙いとしている。また脳波検査ではどのようなことをするのかを,検査技師以外のスタッフたちが理解するツールとしても役立っている。図5 痙攣発作呼吸で10.3%となっており,いずれも成人の割合よりも高いことが知られている。小児の年齢や理解度に合わせて脳波検査を行う必要がある。小児であっても,覚醒時の脳波や光刺激など,できるだけ成人と同じように挑戦できるよう,技師の工夫が必要となる。 小児の場合,各てんかん症候群に対して好発年齢がある。最近ではてんかんに伴う併存症についても注目されている。併存症のひとつである神経発達症は,知的発達症,ADHD,自閉スペクトラム症などが挙げられる。これらは行動や発達特性により規定され,行動観察を主とした診察や詳細な問診により診断されている。てんかんには二次障害として,不注意,多動・興奮性,自閉的行動などを認めるため,痙攣発作などを伴わない病期の初期には神経発達症と誤診されることが多い。てんかんに神経発達症を伴う場合がある一方で,神経発達症で診療されている子どもの中にも,基礎疾患としててんかんが併存していて,見逃されている場合がある。多動や衝動性といった行動上の問題を有する小児では,脳波検査でてんかん性放電を認めることが多く,この場合は一部で抗て64東京都医学検査 Vol. 53 No. 1

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