東京都臨床検査53巻1号
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血管内分布 98.5% 70% 40% A O B AB 抗B 抗A,B 抗A もたない 血液型 血漿中の抗体 に結合する糖の違いでABO血液型が異なってくる。ABO血液型遺伝子は第9染色体にあり,ABO遺伝子からは糖転移酵素が合成され,赤血球のみならず体組織にもABO抗原(型物質)を形成する。 ABO血液型の抗体は生後6ヶ月ほどで産生され始め一生産生し続ける。これらの抗体は自然抗体といわれ腸内細菌の細胞壁などに対する抗体といわれている。また,このようなルール(規則)があるため規則抗体といわれる。 Rh血液型には主にD,C,c,E,eの5種の抗原があり通常D抗原の有無のみを検査している。日本人でRhD陽性は99.5%である。RhD抗原は最も免疫原性が高いため適合した血液を輸血する。 ABO血液型以外の血液型に対する抗体の多くは輸血や妊娠により産生される。すなわち,非自己赤血球の感作により産生されるので免疫抗体といわれる。また血液型に対して規則的な抗体を持たないので不規則抗体といわれる。 免疫グロブリンには,IgG,IgM,IgA,IgE,IgDがあるが,血液型抗体の免疫グロブリンクラスは主にIgGとIgMである。 ABO血液型抗体のほとんどはIgMであり完全抗体である。IgMは室温でよく反応し凝集反応をおこす。補体結合性があり胎盤通過性はない。またABO血液型以外の血液型抗体の多くはIgGで不完全抗体である。胎盤通過性があり,一部のサブクラス(IgG1,IgG3)には補体結合性がある。東京都医学検査 Vol. 53 No. 1 『輸血検査の基礎(ABO・Rh血液型)』血液中の成分寿命 120日 赤血球 血小板 10日 アルブミン 40日 凝固因子 概ね1日 概ね100% 血液型69■開催日:2024年5月15日(水)■講 師:株式会社イムコア八木 良仁■生涯教育点数:基礎―20点 血液中には,赤血球,白血球,血小板の有形成分と血漿があり,血漿中には凝固因子,アルブミン,電解質,酵素,ホルモンなどが含まれている。各成分の寿命と血管内分布は下表のとおりである。輸血用血液製剤の有効期限は,これらに基づき定められている。 ABO血液型やRh血液型は,赤血球の血液型であり,それ以外にもLewis,Kidd,Duffy,Kell,MNS,Diegoなど約45システム362個の抗原(2023.11現在 ISBT)が登録されている。 HLA血液型は白血球や血小板に存在し,それ以外にもヒトの有核細胞全てに存在する血液型である。そのため造血幹細胞や臓器移植の際にはABO血液型などよりもこの血液型を適合させる必要がある。 ABO血液型の場合,右上表に示すとおりランドシュタイナーの法則(規則)がある。このためABO血液型検査は,オモテ検査(赤血球抗原の検出)ウラ検査(血漿中抗体の検出)を行い判定する。ABO血液型抗原は糖鎖抗原であり,先端輸血検査研究班研修会―要旨

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