東京都臨床検査53巻1号
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‌‌東京都医学検査 Vol. 53 No. 1Ⅱ.止血機構の概略を少しでも解消し,FDPとDダイマーの理解を深め,日常業務に生かしていただければ幸いです。 私たちの体には,血管の破れを修復し,血を止める働きがあります。まず,血管壁が破れ出血した際,血液の流出とともに血小板が傷口に集まってきます。メディエータにより活性化された血小板は変形し,血小板同士が凝集し一次血栓を作り出血を止めます。次に,血小板血栓上で凝固反応が起こり,フィブリンネットができ,強固な血栓を作り上げます。二次止血が完了し,出血がおさまると,その後は元の血管に戻す修復の作用が働きます。血管の修復が終わると,血栓は血液が流れるのに邪魔になるので,プラスミンによって分解されます(線溶)。分解産物はFDP,Dダイマーとして血中を流れます(図1)。『今さら聞けない,FDPとDダイマーの基礎』Ⅰ.はじめに■開催日:2024年4月18日(木)■講 師:‌‌PHC株式会社 診断薬事業部‌国内営業部‌学術部神永 紗由里■生涯教育点数:基礎―20点 今回の研修会のテーマは「いまさら聞けない,FDPとDダイマーの基礎」です。FDP,Dダイマーは血栓止血関連の検査項目としては,PTやAPTTといった凝固時間検査と並んでメジャーな項目であり,多くの医療機関で測定されていると思います。しかし,意外と「FDPとDダイマーって何を測っているの?」「FDPとDダイマーを両方測る意義ってなに?」「なんで試薬間差があり標準化が難しいの?」と疑問に思っている方が多いようです。今回の研修会を通じて,これらの疑問図1 止血機構74血液検査研究班研修会―要旨

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