東京都臨床検査53巻2号_2
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臨床検査情報システム研究班 班長 選挙管理委員会 委員長特 集LISとHISはじめに林 裕之Intelligence:AI)の技術が活用されています。ity:VR)が身近になってきました。 前回の臨床検査情報システム研究班の特集では,「災害と情報システム」と題して,災害拠点病院の役割や広域災害救急医療システム(Emer-gency Medical Information System:EMIS)の概要,人的リソース確保のためのSMSを用いた情報収集,コロナ禍でもできる災害訓練などを取り上げました。 私たちの身の回りにある情報システムは着実に進歩しており,現在では一般向けのパソコンやスマートフォンなどの端末にも人工知能(Artificial 業務ビジネス業界ではChat GTPが広く普及し,映像やゲーム業界では仮想現実(Virtual Real- 医療業界においては,マイナンバーカードの健康保険証利用が開始され,情報システムによって,限定的ながらも病院や薬局の隔たりがなく個人の医療情報が共有されるようになりました。臨床検査の分野では,数年前から鏡検を必要とする血液像や尿沈査の検査分野で画像判別システムが普及してきています。 将来的には,臨床検査に関わる領域でもAI技術が期待されるとともに,VRを用いた研修会など134東京都医学検査 Vol. 53 No. 2も導入される可能性があります。今回は,身近な臨床検査業界を取り巻く情報システムを題材として,「病院施設に関連するシステム」と「当技師会を取り巻くシステム」を中心に医療のシステム化・オンライン化についてご紹介いたします。基本概念と定義 臨床検査情報システム(Laboratory Informa-tion System:LIS),病院情報システム(Hospital Information System:HIS)という言葉は,情報システム管理で使用する言葉です。 HISは一般的に電子カルテシステムを中心とした病院全体の情報管理システムを指します。施設によっては,検査結果のパニック値報告や患者対応を臨床検査技師がカルテに直接記載しています。また,血液検査をはじめ,エコー検査の所見や病理検査所見を医師や看護師などの他職種が確認し,治療に活用しています。 このHISと密接に連携して運用されているのがLISです。LISには,ISO15189取得の普及により活用されるようになった文書管理システムや試薬発注納品システムなども含まれる場合があります。業界を取り巻く情報システム

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