237JAMT技術教本シリーズ 遺伝子・染色体検査技術教本最新臨床検査学講座 遺伝子・染色体検査学染色体遺伝子検査の品質保証のための指針(第3版)造血器腫瘍アトラス(改訂5版)時の生着状態の把握に有用である。プローブはAbbott社のVysis CEP X Spectrum Orange/Y Spectrum Greenを使用している。このプローブはX染色体のセントロメア部分であるp11.1からq11.1の領域を赤色に,Y染色体の長腕のq12領域を緑に蛍光させる。スライド上に存在する細胞の核をカウントし,XYやXXの割合を報告する。2,PML::RARA PML::RARA融合遺伝子はAPLのほとんどで確認される融合遺伝子である。プローブはAbbott社のVysis LSI PML/RARA Dual color Dual fusion Probesを使用している。PMLは15番染色体の長腕部分q24領域,RARA遺伝子は17番染色体長腕部分q21.2領域に存在している。PMLは赤,RARA遺伝子は緑に標識され,通常は赤が2つ,緑が2つ,計4つのシグナルが確認される。相互点座している場合,融合シグナルは赤1つ,黄色2つ,緑1つの計4つ。融合が起こっている細胞を陽性の細胞としてカウントし陽性率を報告する。3,KMT2A(MLL) KMT2A遺伝子は造血細胞を増殖させる遺伝子で様々な染色体相手と転座する。急性リンパ性白血病や急性骨髄性白血病などで異常が認められることがある。 プローブはAbbott社のVysis LSI MLL Dual color Break apart Rearrangement Probeを使用している。KMT2Aは11番染色体の長腕部分q23領域に存在している。KMT2A遺伝子を境にセントロメア側が緑,テロメア側が赤色に蛍光標識されている。通常は黄色いシグナルが2つ確認されるが,陽性細胞では,KMT2A遺伝子の存在する領域で再構成が起こり,黄色1つ,緑1つ,赤1つ計3つが確認される。Ⅵ,当検査科でのFISH検査の精度管理 外部精度管理の利用と検査室間比較として約1年前に当院で検査したカルノア保存検体を使用し過去と同様の結果が得られるどうか確認を行っている。外部精度管理としては,日本染色体遺伝子学会精度管理への参加,FISH検査技術標準化研究会へ参加をしている。Ⅶ,参考文献東京都医学検査 Vol. 53 No. 2
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