東京都臨床検査53巻2号_2
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仮想基盤サバ➁仮想基盤サバ➀PACS院内部門システムJLAC10とJLAC11電子カルテ部門システム図2 バックアップよりシステム領域を含む仮想マシンごとに復元することでランサムウェア等のウイルス感染の緊急事態に対応するなど,今後主流になる可能性はあります(図2)。 MRIやエコーの所見を作成する臨床検査技師の方には馴染みのあるシステムとして,医療用画像管理システム(Picture Archiving and Commu-nication System:PACS)があります。このシステムもHISやLSIと共に日常的に病院で運用されています。電子カルテからシステムを起動できる場合が多く,レントゲンやCT,MRIなどの画像検査で得られたデジタルデータを保管・管理するシステムです(図3)。従来のフィルムとは異なり,管理や共有が容易になったことで,臨床検査技師も画像データの情報を臨床検査に活用することが可能となりました。最近では,医療画像データを外部のクラウドで管理する「クラウド型」と,従来通り院内にサーバを設置して保管・管理する「オンプレミス型」の2種類が主流となっています。関連するシステムとして,診療放射線技師が日常的に使用する放射線科情報システム(Radiol-ogy Information System:RIS)があります。これは臨床検査技師の用いるLISと名称の響きは似ていますが,画像データの管理やレポート作成などの機能を有した放射線科に特化したシステムです。136東京都医学検査 Vol. 53 No. 2HISとLISが別々でサーバを共有且レプリケーション同期同一敷地内 その他のHISに接続している部門システムは,放射線読影レポートシステム,三次元画像解析システム,救命救急システム,調剤支援システム,リハビリシステム,栄養管理システム,ネットワーク型手術映像記録配信システム,歯科用Mini-PACS,生体情報管理システム,手術室統合管理システム,病歴管理システム,科別収支システム,服薬指導システム,地域連携システム,診療支援システム(DWH),治験管理システム,統合画像管理システム・スキャンシステム,文書システム,再来受付システム,表示板システム,医事会計システム,DPC分析システム,医事統計システム,薬剤管理システムなど多岐にわたります。医療情報の標準化への取り組み 2023年12月よりマイナンバーカードの健康保険証が開始されました。病院や薬局の受付時に情報提供に同意することで,過去に処方された薬や特定健診などの情報を医師・薬剤師とスムーズに共有できるようになりました。全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大および電子カルテ情報交換方式の標準化は,将来的にも重要な課題といえます。 このような取り組みの中,臨床検査における情報共有化の検討は数十年前から始まっています。その成果として生まれたのが,臨床検査項目分類コードと呼ばれるコードシステムです。このコードは,現在の日本臨床検査医学会と厚生労働省によって進められている事業です。コードの概要は以下の通りですが,詳細は日本臨床検査医学会のホームページに掲載されているため,ぜひ一度閲覧してみてはいかがでしょうか。

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