低中高東京都医学検査 Vol. 53 No. 2図1 HLA抗体検査試薬(蛍光ビーズ法)の特徴 PC-HLAは患者のHLA型とHLA抗体特異性によって適合ドナーが選択されるため,オーダーメイドの製剤と言える。また,PC-HLAを継続的に供給するためには多くの適合ドナーが必要になるため,許容抗原(HLA抗体に対応しない患者HLA型と異なるHLA抗原)を付加することも多い。許容抗原は,交差反応性グループ(CREG)やハプロタイプを考慮し選択する。交差適合試験(ICFA法)は用手法で行い所要時間は約3時間を要する。なお,PC-HLAは適合ドナーの献血要請あるいは成分献血予約者から検索し,交差適合試験を実施した後に製品化されるため発注から供給までに5~7日程度の日数が必要になる(図2)。また,PC-HLAはHLAの適合を優先するためABO異型の血小板が供給されることがあり,血液センターでは抗A抗B抗体価が128倍以上の場合に医療機関へ情報提供している。 血小板膜表面上には,ヒト血小板抗原(HPA),ヒト白血球抗原(HLA),ABO抗原などの同種抗248〇輸血の副作用〇PC-HLAの供給〇HPA関連検査原が存在する。妊娠や輸血によってこれらの抗原に対する抗体が産生されると,新生児血小板減少症(NAIT)や血小板輸血効果不応(PTR)の原因になることがある。本邦においては,HPA-5b抗体が検出されることが多いが,血小板輸血との関連性ではHPA-2やHPA-3が,NAIT症例の原因としてはHPA-3やHPA-4が臨床的に重要視され必要に応じてHPAを適合させた血小板製剤が使用される。代表的な検査法はMPHA法であり,HPA抗体のスクリーニングおよび抗体同定検査に使用する施設が多い。 輸血後GVHD(植片対宿主病)は,輸血用血液製剤中の供血者リンパ球が生着し,患者の体組織を攻撃,傷害することによって起きる病態である。発症原因は,免疫不全状態の患者に輸血した際のHLA一方向適合(HLA one-way match)と考えられ,安全対策として輸血用血液製剤への放射線照射が有効である。また,TRALI(血関連急性肺障害)は,輸血後6時間以内に非心原性の肺水腫により急性呼吸不全をきたす重篤な輸血副作用でHLA抗体検査試薬(蛍光ビーズ法)の特徴ビーズ1種類あたり、複数のパネル細胞から抽出・精製したHLA 抗原ビーズ1種類あたり、1 種類のパネル細胞から抽出・精製したHLA 抗原ビーズ1種類あたり、単一のHLA抗原試薬3~5パネル/1ビーズ1パネル/1ビーズ1抗原/1ビーズ*1パネル=1人分のハプロタイプ解像度特徴用途スクリーニングスクリーニング(ある程度の特異性)特異性確認試験
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