東京都臨床検査53巻2号_2
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A1赤血球B赤血球O赤血球A1赤血球B赤血球O赤血球A1赤血球B赤血球O赤血球判定A1赤血球B赤血球判定A1赤血球との反応が確認され、O型と判定000東京都医学検査 Vol. 53 No. 2■開催日:2024年11月20日(水)■講 師:‌‌日本赤十字社 関東甲信越ブロック血液センター 検査部 検査一課‌永沼 真一■生涯教育点数:専門―20点 輸血検査では様々なトラブルに遭遇することがありますが,その中にオモテ検査ウラ検査結果不一致があります。その原因には,オモテ検査側で亜型,疾患による抗原の減弱,自己抗体による赤血球の感作,ABO異型輸血,造血幹細胞移植,キメラ,年齢による抗原未発達などがあります。ウラ検査側には,低(無)γ-グロブリン血症,新生児,乳児,高齢者,冷式抗体の存在,連銭形成による影響,不規則抗A1,抗Bの存在などがあります。これらが原因となり,判定保留となった症例について,対処法や依頼検査における検査の進め方をいくつか紹介します。 ウラ検査において抗A,抗Bの反応が弱い場合,反応時間の延長や血漿量の増量が有効となります。この際,O型赤血球を同時に検査することが望ましいです。追加検査は︖図1 医療機関での検査結果250『輸血検査トラブルシューティング』【はじめに】【ABO血液型検査】直後判定後、室温で15分~30分反応させ再度判定するオモテ検査抗A抗B判定4+A型①血漿と赤血球を感作後、試験管を遠心②血漿のみを取り除く③沈んでいる血球を崩さないように、取り除いた血漿と等量の生理食塩液を添加後に判定①血漿と等量の生理食塩液を添加する②遠心判定する(*連銭形成が強い場合は完全に消失しないことがある)保留オモテ検査抗A抗B判定O型ウラ検査4+保留反応時間の延長血漿量を増やす追加検査は︖1.生理食塩液置換法2.生理食塩液を添加する方法図2 追加検査(ウラ検査) ウラ検査で連銭形成が認められた場合,生理食塩液置換法を行うことで連銭形成の影響を取り除くことが可能となります。なお,連銭形成は血漿の存在下で起こるため,洗浄操作を行う試験管法での間接抗グロブリン試験には影響しませんが,洗浄操作がないカラム凝集法を用いた間接抗グロブリン試験では影響が出る危険性があるため注意が必要です。図3 医療機関での検査結果図4 連銭形成の影響を解消する方法直後w+4+015~30分2+4+02滴w+4+04滴2+4+0ウラ検査1+4+1+w+

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