い東京都医学検査 Vol. 53 No. 2PACS137臨床検査システム放射線科情報システム電子カルテ図3 臨床検査項目分類コード(第11版)開発の経緯 臨床検査項目分類コードは,1962年に日本臨床病理学会(現在の日本臨床検査医学会)が検討を開始し,医療情報システムの普及や医療機関同士の情報交換を円滑に行うため,医療情報システムが標準的に使用する検査項目コードとして設定されました。改定を重ね,1997年に第10回改訂(JLAC10)として公開し,メンテナンスが継続されています。それまでの間に臨床検査項目における厚生労働省の標準マスターにも認定されました。しかしながら,医療機関同士の情報交換の観点からはそれほど普及が進まず,一方で特定健診,生活習慣病等の医療機関から収集された検査データの分析,MID-NETによる副作用情報の分析など,検査データの二次利用における標準検査コードの必要性が高まってきました。そこで,日本臨床検査医学会は臨床検査項目標準マスター運用協議会を設立し,検査データの二次利用に有効活用できることを主目的にした新たな臨床検査項目分類コード(第11版)(JLAC11)の開発に着手しました。JLAC11の基本コード体系 JLAC11は5つの要素区分から構成されています。1.測定物コード(5桁):所定の付番ルールに基づき,測定対象物質を識別するために用います。JLAC11の測定物コードは先頭文字を英字とし,先頭文字が数字のJLAC10と区別できます。2.識別コード(4桁):検査結果の属性を識別するために用います。他要素とは独立して付番する「識別(共通)」と,測定物コードに従属する「識別(固有)」があり,各々のコード帯に違いを設けています。3.材料コード(3桁):検査材料を識別するために用います。他要素には従属せず,独立したコードとして付番します。4.測定法コード:測定法を識別するために用います。体外診断用医薬品の場合は「測定法名称と個々の商品名称の組み合わせ」,検体検査用の医療機器の場合は「個々の機器」で識別します。5.結果単位コード(2桁):検査結果の単位を識別するために用います。他要素には従属せず,独立したコードとして付番します。JLAC10コードの実例 例として,あるメーカーの測定方法で尿中の蛋白定量を例にJLAC10コードを示します。・分泌物コード:蛋白定量〔尿〕1A015・識別コード:0000・材料コード:尿001・測定法コード:反射側光法(レフラクトメトリー)291・結果識別コード:定量値01 これらを組み合わせると「1A015-0000-001-291-01」となります。JLAC10の課題と今後の展望 JLAC10(17桁コード)の利用にあたり指摘されている問題点は同ホームページでも公開されていますが,具体的には下記が挙げられています。・付番するのに時間がかかる・相当の知識がないと付番できない・付番者によって付番結果がばらつき,唯一性が確保できない・体外診断用医薬品毎に付番例が公開されるとよ・2次利用によるデータ分析で単位がある これらの問題点を解決することがJLAC11開発の主眼となっています。2020年11月11日時点で,JLAC10コードは6,711コード存在しま
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