東京都臨床検査53巻2号_2
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図3 尿量不足時の採血アシスト画面プの提出がされていると,尿量判定の結果が表示されるため,量不足(尿量NG)の場合は採血時に再採尿を依頼することができる(図3)。 外来採血室退出後に再採尿を依頼する場合,患者の呼出や診療科への連絡など大きな負担である。しかし,本機能により,早い段階で再採尿を依頼することができるため,患者とスタッフの双方にとって負担の軽減につながっている。 昨今,ICT・AI技術は急速な進歩を遂げている。254東京都医学検査 Vol. 53 No. 2Ⅳ.まとめこのような技術を活用し,オンライン診療などを行っている施設は多く存在し,臨床検査においてもAI化の流れを感じるようになった。 採血室のシステム構築や改修は業務の効率化だけではなく,負担の少ない採血の実施や患者満足度の向上のためにも重要な取り組みである。一方でその取り組みが診療科を越え,病院全体が関係する事案に膨れ上がることもあるため,システムの実装や稼働には様々な困難が生じる可能性がある。当院の場合,新病院棟の開院・移転という大きなイベントと重なったこともあり,採血室のシステム改修についても機運が高まっていたということは言うまでもないが,それでも多くの困難を乗り越えて稼働までに至った。 施設規模によって採血室に求められるシステムや環境は異なるが,システムによる効率化を図ることで,職場環境の改善に繋がり,患者が理想とする採血室を形づくることにも繋がる。本研修会を通して,自施設の採血室システムについて,一考する機会となり,本日紹介した内容がそれぞれの施設における採血室運営・システムの参考になれば幸いである。

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