東京都臨床検査53巻2号_2
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259■開催日:2024年9月27日(金)■講 師:H.U.フロンティア株式会社大場 千津子■生涯教育点数:基礎―20点 東京都臨床検査技師会 会員の皆様,H.U.フロンティア株式会社の大場でございます。先般の第2回都臨技公衆衛生検査研究会の研修会におきましては,弊社の医療接遇研修「ほっとできたらいいですね」の講義の機会を賜り誠にありがとうございました。Webでの研修会にも関わらず,多くの方々にご参加いただき重ねて御礼申しあげます。本会誌では,医療接遇への思いや研修のポイントをまとめました。ぜひご一読いただき,医療サービス向上の参考にしていただければ幸いです。 会員の皆様は,臨床検査学の学びから技師としてのやりがいを最先端で感じておられ,常に知識と技術を駆使し,日夜患者さんの診断サポートにご貢献されていることに心より敬意を表します。私も臨床検査技師の資格を有しておりますが,検査センターで長年の間,従事してまいりました。社会人デビュー当時,血管内皮細胞や心臓からの分泌ホルモンや,乳癌組織からのERPR定量,ブタ甲状腺細胞を用いたバイオアッセイなどの研究的検査に携わり,サイトカインが細胞とのクロストークにおいて重要な役割を果たしていることに驚きと魅力を感じました。今では,ゲノム解析を通じて遺伝子の変異や異常を特定し,個別化医療が実現する時代となりました。臨床検査は,肉眼では捉えられないものを可視化・画像化し,人の命や健康に大きな影響を与えることを実感できる,責任と誇りを伴った素晴らしい分野です。 法改正によって臨床検査技師の役割は拡大し,特に微生物検査における粘膜採取や嗅覚・味覚検査が追加されたことは,採取技術や検体の取り扱『医療接遇研修 ほっとできたらいいですね』●第一印象の重要性とお薬ことばいに加えて,患者さんへの配慮や理解が求められるため,医療接遇力の向上はますます重要になっています。接遇力を磨くことで,患者さんとの信頼関係が築けるだけでなく,自部署や施設全体のリスクマネジメントにも寄与します。患者さんの気持ちに寄り添い,安心感を提供することが,より良い医療を実現するための鍵と言えるでしょう。臨床検査技師としての専門性と人間性の両方を高めていくことが求められます。 私は10年間ほど,親をサポートし介護をしてきました。食後には誤嚥性肺炎を防ぐため,口腔内を丁寧に清掃し,就寝時には介助を行いました。また,骨髄検査が必要になったときには,その場で待機していました。激しい痛みに耐える親の声を聞くのは辛く,採取を行う医療従事者の手際の良さや,問題がなかった検査結果に対しては,感謝の気持ちが湧きました。入院や退院を繰り返す中で,病院の医療従事者の丁寧な説明や,困惑や不安を和らげる笑顔,優しい声かけに助けられ,介護と仕事を両立することができました。このような支えに対する感謝の気持ちは忘れません。患者やその家族,医療従事者が安心できる環境が大切だと思います。私自身のさまざまな介護経験から医療接遇の重要性を感じており,これが研修活動の原動力となっています。それでは,医療接遇についてのポイントを述べてまいります。 医療現場における身だしなみは,清潔感・控え目・機能的であることが不可欠です。特に機能性については,例えば白衣の袖を捲ることが医療行為に悪影響を及ぼす可能性があるため,袖は捲らない方が望ましいという考え方です。最初の印象は視覚的情報に基づくため,おしゃれと身だしなみの違いを理解することが大切です。おしゃれは東京都医学検査 Vol. 53 No. 2 公衆衛生検査研究班研修会―要旨

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