東京都臨床検査53巻2号_2
137/152

261●障害者差別解消法について●内部接遇について伝える。❸フォロー:検査後の経過観察や,気になることなど相談可能であることを伝える。 このように全体としては患者さんの気持ちを大切にしつつ,今後の改善に向けた姿勢を示します。それでも前向きな対話に進まなければ,管理者・関係部署に相談し他の対応策を検討せざるを得ません。 内部接遇の向上は,医療現場において非常に重要な要素です。チーム全体の連携が強化され,結果的に患者さんへのサービス向上にもつながります。職場内でコミュニケーションを円滑にするには,①相手の話を聴く姿勢です。アクティブリスニングを心がけ,相手の言葉だけでなく,非言語的なサインにも注意を払い相手がどのような気持ちを抱えているのかを理解します。②相手が表現する感情に対して共感を示すことで,信頼関係を築くことができます。「それは大変ですね」「私もそう感じることがあります」といった言葉が,相手に安心感を与えます。③感情や意見を適切に伝えるために,明確で丁寧な言葉遣いを心がけ,素直な表現をすると相手も心を開きやすくなります。例えば,「あなたの意見は大切です。それについてもう少しお話ししましょう」といったアプローチが効果的です。これら3つの手段が手助けとなります。 職場活性化のポイントに面白くも有意義な標語「ほうれんそうのおひたし〇」をお伝えしました。この言葉は,報告・連絡・相談を意味する「ほうれんそう」と,怒らない,否定しない,助ける,まかせる,みまもる,という姿勢を組み合わせたものです。「ほうれんそう」は,チームの連携を深め,情報共有を促進します。そして相手の意見を尊重し,サポートすることで信頼関係が築かれます。コミュニケーションにおいては,相手を受容,安心感を持たせることが何より大切です。この「ほうれんそうのおひたし〇」を心に留め,日々のコミュニケーションに活かしていきましょう。クレーム対応の部分で,「限定謝罪」について触れましたが,良好な関係となるため,相手に感謝,褒める,労う,などのときにも限定的な伝え方は有効です。「当番を代わってくれて本当に助かりました。心から感謝しています!」,「この作業を短時間で理解できるなんて素晴らしいですね。あなたの理解力に感心しました。」,「他のことで忙しい中,対応してくださってお疲れさまです。おかげで助かりました。」です。相手に感謝の気持ちを伝えると同時に,具体的な行動に対してポジティブな評価を加えると,相手が自分の貢献を理解しやすく,関係がより良いものになります。 最近は,若い世代はZ世代と呼ばれ,先輩方はその対応方法や指導に悩まれていると聞きます。世代別の分類は経済活動やマーケティングから生まれたものですが,人との関わりにおいては,こうした線引きは必ずしも必要ではなく,ジェネレーションギャップは自然なものであり,受容し包括することが大切です。Z世代はデジタルネイティブといわれ,彼らの価値観やコミュニケーションスタイルはこれまでの世代とは異なります。先輩方が彼らを理解し尊重することで良い関係を築くことが可能です。教育や指導においても,若手の視点を尊重し,対話を重視するアプローチから,お互いに成長できる機会が生まれます。ジェネレーションギャップを恐れず,その違いを活かす姿勢を持ちましょう。先輩方も若いころには〇〇世代と呼ばれていたことを思い出し,共に学び合い,支え合う関係を築いていきましょう。 2024年4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されたことをお知らせしました。医療業界においては,障害をお持ちの患者さんに対して,必要な支援や配慮を行うことが求められています。このため,医療従事者は障害に関する理解を深め,適切な対応ができるよう工夫を重ねる必要があります。今後,接遇面での情報提供と支援ができるよう尽力してまい東京都医学検査 Vol. 53 No. 2

元のページ  ../index.html#137

このブックを見る