東京都臨床検査53巻2号_2
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『内視鏡業務の実際について ―病院規模による違いや専任・兼任について―』<内視鏡の歴史><内視鏡とは>言うと,医療においては身体の中を見るもの,を意味し,消化器内視鏡だけでなく様々な内視鏡を示すことになります。医療における内視鏡は大きく「硬性内視鏡」と「軟性内視鏡」に大別され,「硬性内視鏡」には腹腔鏡や尿管鏡,間接鏡や神経鏡などの他に,内視鏡手術支援ロボットなども含まれます。一方で「軟性内視鏡」には消化器内視鏡や気管支内視鏡の他,外来部門で行われている膀胱鏡や耳鼻咽喉鏡,子宮鏡なども含まれます(図1)。硬性内視鏡は硬くて可動性が少ない反面,オートクレーブによる滅菌が可能です。主に手術室で使用されることが多い内視鏡です。一方で軟性内視鏡は柔らかく可動域が多い反面,外力によって簡単に凹みやすくオートクレーブによる滅菌ができません。滅菌する場合にはエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌のみで,通常は洗浄消毒によって高水準消毒を行います。写真1 現在の内視鏡検査の様子(被検者は筆者)東京都医学検査 Vol. 53 No. 2 263■開催日:2024年12月13日(金)■講 師:東京品川病院今村 倫敦■生涯教育点数:専門―20点 内視鏡と呼ばれるものの歴史は今から200年以上前まで遡ります。1800年頃より胃内を観察するための胃鏡が報告され,これまで直接見ることが難しかった胃潰瘍を代表とする胃病変を直接観察することができるようになりました。その後,1950年代にオリンパス社より「胃カメラ」が誕生し胃内を覗いて観察しながら撮影が行えるようになりました。1980年代になると現在使われているような「ビデオスコープ」が誕生することになり,内視鏡で観察された映像を外のモニターで施行医・介助者が共に観察しながら写真を撮影できるようになりました(写真1)。近年ではこの「ビデオスコープ」の更なる高画質化,細径化といった性能強化が行われています。 内視鏡と言うと,狭義には上部消化管内視鏡(いわゆる胃カメラ)と,大腸内視鏡の消化器内視鏡を指すことが多いです。一方で,広義に内視鏡と図1 広義の内視鏡と狭義の内視鏡(硬性内視鏡と軟性内視鏡)

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