技師会に関連する情報システム医療現場のオンライン化の 現状と将来展望す。厚生労働省の調査によれば,電子カルテが導入されている一般病院のうち,検査項目にJLAC10コードの対応付け(マッピング)を実施している施設が24%,このうちJLACマッピング作業に必要な人材や予算等を確保できている施設は26%と報告されています。各施設において,臨床検査技師がJLAC10コードのマッピング作業に携わり,マッピング実施施設が増えることで,医療機関同士の情報共有が促進される可能性があります。臨床検査を専門とする私たちが積極的に参入することで,日本の医療の発展に貢献できると考えます。 臨床検査のオンライン化は世界的に急速に進展しています。たとえばAI技術を活用した画像診断や病理診断支援,生体情報モニタリング,検査データ解析など開発中のものも含めるとその種類は多岐にわたります。 最近では,患者が自宅で採取した検体を郵送し,結果をオンラインで確認できるサービスが増加しています。さらにスマートフォンアプリと連携した在宅検査キットも普及しており,患者の利便性を大きく向上させています。 米国を中心とした海外ではいち早く患者向けポータルサイトを通じた検査予約と結果確認システムが普及しました。さらに自宅用検査キットと結果のデジタル配信サービス,IoT対応検査機器と遠隔モニタリングシステムの導入も進んでいます。日本においても,厚生労働省によるオンライン診療指針の改定により,遠隔での検査指示と結果説明の規制が緩和されました。病院と患者が特定のデータプラットフォームやシステムを介して繋がることで,患者は自宅で測定した血圧・体重・血糖値などを記録し,医師らは一元管理されたそれらの情報を閲覧することができます。また,Webカメラを使用してそのままオンライン診療138東京都医学検査 Vol. 53 No. 2を行うことも可能にしています。一方,検体採取の課題や検査機器の制約,個人情報保護や法的・倫理的な面でも課題があり,現状ではオンライン診療が広く浸透しているとは言い難い状況です。 AI技術の進歩は凄まじく,今後も医療業界に様々な革新を起こしていくものと思われます。ウェアラブルデバイスと連携した連続的モニタリング,ブロックチェーン技術を活用した検査データの安全な共有と追跡,マイクロ流体技術を用いた小型かつ高性能な在宅検査デバイスの開発などが期待されます。誰しもが診察や治療を受けるために当たり前のように病院に行っていたことが,近い将来,診察や治療を受けるために当たり前のように自宅でパソコンを開く日常がもうすぐそこまで来ているのかもしれません。研修会のオンデマンド配信 当技師会をはじめ,コロナ禍を経験することで現地開催の研修会からパソコンやスマートフォン端末を活用したオンライン研修会が急速に導入されました。コロナ禍当初は生配信のみでしたが,ここ1年ほどは当技師会ホームページ上で初級研修会の随時配信を行ってきました。また,講師の了承が得られた場合などは,生配信と同時に研究班で録画・録音し,オンデマンド配信を各研究班が行っています。当研究班でも生配信の後,事前登録者限定で後日オンデマンド配信を行っています。まだ完全に浸透しているとは言えませんが,内容を見返したい方や配信を見逃してしまった方は積極的にご活用いただき,研修会をより身近なものにしていただければと考えています。オンデマンド配信の様式は複数パターンありますので,研修会の事前登録後にオンデマンド配信視聴についてお知らせがあった場合は,各研修会・研究班の連絡に沿ってご視聴ください。
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