によって,急激に臨床検査技師の業務に内視鏡介助が追加されることとなりました。 最後に,内視鏡技師の業務について4つの見出しでまとめていきます。 1.内視鏡室の特徴,2.内視鏡技師の主な業務,3.施設によって異なる内視鏡技師の業務,4.分担・協働,専任・兼任について,をそれぞれ解説します。[1.内視鏡室の特徴] 内視鏡室の大きな特徴は2つあります。 1つ目は,検査も治療も同じ部屋で,同じ時間に行えることです。例えば,上部消化管内視鏡検査の際,胃潰瘍からの出血が認められればその場で消化管止血術を行えたり,大腸内視鏡検査で大腸ポリープが見つかればその場で内視鏡的切除術を行えたりします。 2つ目は,内視鏡室のすぐ隣に内視鏡洗浄消毒室があることです。内視鏡は1本1本が非常に高価(1本約400万円前後)ですが,日本の内視鏡検査需要は非常に高いです。1日に施行される内視鏡検査分の内視鏡を1患者1本ずつ揃えるのは,現実的ではありません。そのため,使用後の内視鏡はすぐ隣にある洗浄消毒室で用手による洗浄ののち,自動洗浄消毒装置に入れて消毒を行うことで再使用されています。[2.内視鏡技師の主な業務] 内視鏡技師の主な業務は,3つの柱(機器管理・介助・洗浄消毒)に分けることができます。 機器管理業務は,内視鏡検査・治療を安全に受けていただくために必要です。特に,内視鏡を行う上で絶対必要な機器を3つ紹介します。①内視鏡システム:光源装置・ビデオシステム・画像処理PCなどから構成されており,光を身体の中に送り込み,画像をモニターに形成して,保存する内視鏡の本体装置です。②高周波発生装置:内視鏡治療で用いられる高周波発生装置は,内視鏡的ポリープ切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった内視鏡治療に用いられるだけでなく,胃潰瘍からの出血に対して高周波で止血することにも用いられます。③内視鏡スコープ:内視鏡スコープは身体の中に挿入される挿入部と,内視鏡システムに接続されるユニバーサルコード部,アングル操作や写真撮影を行う操作部に分けられます。挿入部の先端径や鼻からも挿入可能な5mmのスコープから,太いもので15mmほどあるものまであります。その他特殊な機能を持つスコープとして,内視鏡先端に超音波プローブ(探触子)が付いた超音波内視鏡,粘膜表面構造をより詳細に観察できる拡大機能のついた内視鏡,十二指腸下行脚の乳頭部から胆管・膵管にアプローチしやすいように側面にカメラが付いている側視鏡などがあります。 介助業務は,タスクシフト・シェアによって法的に認められた生検介助に始まり,散布チューブを用いた消化管内への色素散布,ポリープ切除のためのスネアの操作,止血処置やポリープ切除後の人工的潰瘍の縫縮のためのクリップ操作などが基本になります。さらに発展した介助には,高周波発生装置と絡めた高周波ナイフの操作,止血鉗子の操作,胆膵系治療においてはガイドワイヤー操作やバスケット鉗子・バルーンの操作,ステント展開などさまざまな介助があります。介助の数だけデバイスもあり,それぞれのデバイスの操作方法を覚えると共に,正確な操作で使いこなす技術が必要になります。 洗浄消毒業務は使用後の内視鏡を適切にリプロセスするための操作です。スタンダードプリコーションの考え方を念頭に,全ての使用後の内視鏡を同じ方法で不足なくリプロセスすることが大切です。消毒工程においては現代においてはほぼ全ての内視鏡施設で自動洗浄消毒装置が導入されているため装置のメンテナンスが確実に行われていれば問題はありませんが,自動洗浄消毒装置に入れる前に用手にて十分にスコープ表面および管路東京都医学検査 Vol. 53 No. 2265<内視鏡技師の業務>
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