1411.はじめに2.ガイドラインの改訂>> 医療情報シリーズ「臨地実習」について 近年,国民の医療へのニーズの増大と多様化,チーム医療の推進による業務の拡大,新たな検査項目の登場,検査機器の高度化により,臨床検査技師を取り巻く環境と求められる役割や知識等も変化している。その結果,養成施設の教育の見直しや臨地実習の充実等による臨床検査技師の質の向上が求められている。しかし,統一した指針がない状態での臨地実習では,その実施方法や指導環境,指導する期間等が養成施設や臨地実習施設に委ねられていた。その結果,臨床検査技師の資格がない学生が患者に接し,臨地実習を行うために必要な知識・技能・態度の確認方法や評価方法も養成施設によって違いが生じていた。そのため臨地実習に望む学生の質においても大きな差が生じていたのが現状である。 このような状況を踏まえ,2019年12月「臨床検査技師学校養成所カリキュラム等改善検討会」が設置され,国民の信頼と期待に応える質の高い臨床検査技師を養成することを目的として,カリキュラムの改善,臨地実習前評価の実施や臨地実習調整者の配置などの臨地実習の在り方等も含めた見直しについて検討された。翌2020年(令和2年)4月に「臨床検査技師学校養成所カリキュラム等改善検討会報告書」1)が公表され,その報告を受け,新たな臨床検査技師卒前教育に関する法令,「臨地実習ガイドライン2021」2)が発刊された。本ガイドラインは,臨床検査技師の育成における指針となり,より高いレベルの臨床検査技師が育成されることが期待される。 ガイドライン改訂に伴う臨床現場での変化や取り組みについて述べる。 今回のガイドライン変更により「生理機能検査学」から「生理学的検査」に名称が変更された。この変更は名称の変更のみならず,生理学的検査の手技や患者接遇,医療現場におけるコミュニケーション技術の習得も含まれている。 具体的に外来や手術室等多様な医療現場での実習が求められ,多様なニーズに対応できる能力を養うことを目指している。さらに技術面だけでなく,患者に対する配慮等も大きく求められる。 また,臨地実習の単位数が従来の7単位から12単位に増加し,実習時間が大幅に増加したことも大きな変更点である。これは実習生に十分な実習機会を提供し,現場での実践力を高め,臨床で必要とされる知識や技術を習得することを目的としている。さらに12単位の内3単位以上は生理学的検査に関する実習を行うこととなった。医学の東京都医学検査 Vol. 53 No. 2社会福祉法人 三井記念病院 石神和輝第2回受入れ現場から~生理学的検査~
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