部竹島 秀美東京都医学検査 Vol. 53 No. 2溶血により高値PALP欠乏により低値(透析)半減期はASTに比して長いPALP欠乏により低値(透析)溶血により高値冷蔵や-20℃では低下する低値:100以下高値:1000以上低値:38以下高値:1500以上高分子型は放置により低分子化して活性が高まる低値:20以下高値:400以上マクロアミラーゼ血症術後高アミラーゼ血症低値:なし高値:1000以上CK値と急性腎障害:AKIの発症には関連があるとされている低値:なし高値:なし有機リン系殺虫剤は現在多くが製造・使用を禁止されている低値:なし高値:300以上低値:なし高値:300以上低値:なし高値:1000以上低値:なし高値:なし低値:なし高値:400以上低値:なし高値:5000以上低値:20以下高値:なしトランスアミナーゼ、CK、LD、その他多くの細胞内酵素が、組織の病変に伴う細胞の膜変化、細胞壊死などで血中に逸脱する。ある組織で酵素の増産が行われる結果、血中レベルが上昇。・小児期の盛んな造骨によるアルカリフォスファターゼ(ALP)の増産・飲酒によるγーグルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)ある組織で産生している酵素がその組織の病変によって合成能力が低下し血中レベルが低下。・慢性肝炎による、肝で産生しているCHE、LCATの低下血清酵素には肝胆道系や尿路を通じて排泄されるものもある。・胆道閉塞によるALPやγーGTの上昇・尿毒症でみられるαーAMYの上昇極端値・パニック値対応マニュアルVer.2酵素項目基準範囲パニック値AST13~30ALT♂10~42♀7~23LD124~222ALP38~113AMY44~132♂59~248♀41~153CKChE♂240~486♀201~421極異常値(極端値):基準範囲を極端に逸脱する異常値。統計的には測定値の上下0.5~1.0%が該当する。パニック値(panic value):極端値のうち、生命が危ぶまれるほど危険な状態にあることを示す異常値血液中で特異な働きをすることが本来の機能である酵素→リポ蛋白リパーゼ、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、凝固線溶系酵素全身の臓器組織の細胞内に存在する酵素で、何らかの機序で血中に出てきたもの→乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、トランスアミナーゼ、クレアチニンキナーゼ(CK)など多数。日本医療検査科学会誌極端値注意点■開催日:2024年6月18日(火)■講 師:日本大学医学部附属板橋病院 臨床検査■生涯教育点数:基礎―20点 近年,臨床化学分析において酵素を用いた反応試薬が主流になっており,酵素活性測定・生体内酵素臨床的意義・酵素を反応原理にした酵素法試薬・酵素法のビットホールなどのトピックス等,酵素全般について広く説明を行った。 酵素:enzymeとは生体内外で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子であり,生物が物質を変化させて利用するのに欠かせない物質である。 この血清中の酵素を臨床的意義の観点より分類する。152『測定に大事な酵素の役割について―酵素法―』【血清中の酵素臨床的意義】血清酵素の変動血清中の酵素①逸脱による上昇②過剰生成による上昇③減産による低下④排泄障害【酵素活性測定】 また血清酵素の変動のメカニズムはとなる。 また最近日本医療検査科学会より酵素の極端値・パニック値対応マニュアルVer.2が発刊されたため酵素項目について紹介する。 酵素活性測定においては,酵素活性が変化する要因において温度・pH・緩衝液種類・基質種類などが挙げられるためそれらを共通にし,1分間に1μmolの基質を変化させる酵素量を1国際単位と定義する。酵素におけるIFCC法とJSCC法の比較は以下の通りである。①血清特異酵素serum specific enzyme②分泌酵素secreted enzyme→αーアミラーゼ、膵リパーゼ③細胞内酵素cellular enzyme臨床化学検査研究班研修会―要旨
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