V①②S東京都医学検査 Vol. 53 No. 2平衡分析(終点分析)生成物濃度End point assay:主にPOD-色原体基質濃度時間速度分析Rate assay:主にNADH系ミカエリス・メンテンの式LD1からLD5まで均等に反応→アイソザイム検査を考慮するアイソザイム(肝・骨・胎盤・小腸)に均等に反応→アイソザイム検査を考慮するLDのH型優位に反応→アイソザイム検査を考慮しない肝・骨優位→アイソザイム検査を考慮しない項目JSCC法の測定対象量ASTholo-ASTcALTholo-ALTcLDCKMM、MB、BB型ALPγ-GT肝型:Glu-3-CA-4-NAAMYP、S型:Et-G7-PNPVmax零次反応:反応速度は基質濃度に殆ど関係しない一次反応:初速度は基質濃度にほぼ比例するVmaxKm基質濃度IFCC法の測定対象量total-ASTc(PALP加)total-ALTc(PALP加)MM、MB、BB型肝型:Glu-3-CA-4-NAP、S型:Et-G7-PNP⊿P⊿t153平衡分析法と速度分析法酵素反応速度曲線酵素検査の測定対象量(measurand)の比較【酵素反応に影響を与えた事例】【測定値に影響を与える薬剤】【酵素法】 酵素を用いた測定や酵素活性測定において,3例ほどの実例を用いた紹介を行った。i)EDTA混入の影響 ALPはリン酸モノエステルを加水分解しアルカリ側に活性を示す酵素。酵素の活性中心にZn2+を有し,EDTA混入下ではZn2+がキレートされたため活性が低下した。またALPの賦活剤として試薬に添加されているMg2+がEDTAでキレートされ酵素活性を阻害。ii)試薬の第一試薬と第二試薬の混入 ALPの第一試薬に調整ミスにより基質試薬を溶解してしまったことにより,第一試薬加温時に吸光度の上昇が認められ直線性エラーが多発した(コントロールの測定値はほぼ正常)。 反応エラーが起こった場合,反応タイムコースの確認を行う。タイムコースの波形より事象を推測できる場合がある。iii)試薬中の界面活性剤が測定に影響した例 ヘパリンリチウム採血管のLD測定において,試薬中の界面活性剤が浮遊血小板を破壊し,LDの高値異常を認めた。 酵素法試薬で測定値に影響を与える薬剤を紹介。 酵素活性を測定するには酵素反応速度曲線において,反応速度は基質濃度にほとんど関係しない零次反応を使用して基質変化量を求める。 また酵素反応を利用して目的物質を測定する酵素法においては,初速度は基質濃度にほぼ比例する一次反応を使用してLambert-Beerの法則より,目的物質濃度を算出する。 試薬に酵素を用いた酵素法での測定においては,反応の初速度の変化量より濃度を換算する速度分析法:rate assayと反応を終点まで行い終点の吸光度より濃度を換算する終点分析法:end point Assayとがある。
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