東京都臨床検査53巻2号_2
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図2 ビリルビンの⽣成と代謝の主要経路図3 測定法別にみたD-BIL試薬の反応性の違い薬は非抱合型,抱合型,δビリルビンのすべてを測定対象とし,測定原理によるデータ差は少ないとされています。一方,D-BIL試薬は抱合型ビリルビンを主な測定対象としていますが,測定原理により非抱合型とδビリルビンに対する反応性に違いがあるため試薬間差が課題となっています。 特異的酵素法であるイアトロLQⓇ D-BIL(A)は試薬中のビリルビンオキシダーゼと検体中の抱合型ビリルビンと特異的に反応します(図3)。非抱合型ビリルビンへの反応性が低い利点は,新生156東京都医学検査 Vol. 53 No. 2児黄疸などの非抱合型ビリルビン優位な病態と肝胆道系疾患などの抱合型ビリルビン優位な病態を明確に区別できることです。また,δビリルビンへの反応性が低い利点は,肝胆道系疾患回復期の病態をより鋭敏に把握できることです。δビリルビンは他のビリルビンと比べて血中半減期が約2週間と長く病態改善後も血中に残存することが知られています。

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