い在東京都医学検査 Vol. 53 No. 2159図1 免疫検査の精度管理が確認できるケースが多く免疫検査項目でも同様である。一方,専用機を用いる免疫検査項目の非特異反応解析にはいくつかのステップを要するが今回はその詳細については他誌の記載を参考にしていただきたい。 免疫検査項目の精度管理においては一般的に図1に示す特徴がある。1.精度管理試料と患者試料が同じ反応を示さな 特に外部精度管理で問題となることが多い。試薬検討などで複数の試薬を比較する際,患者検体ではそれほど大きな機種間差を示さない場合でも外部精度管理試料などでは大きな機種間差となる現象である。これは外部精度管理試料が売血血清に管理項目の成分を添加し濃度調整したものであるため,反応多様性のある項目においてはその添加成分の由来により通常の患者血清とは異なる偏った反応性を示すことによるものでCEAやCA19-9などで問題となることがある。2.試薬のLot間差がある 前述の通り免疫検査では生物由来の免疫グロブリンが抗体として用いられているため,その力価に個体差が生じる場合があり,臨床化学検査試薬より試薬のLot切り替え時のLot間差が生じやすⅥ.免疫検査の精度管理Ⅳ.免疫検査は標準化が難しいⅤ.臨床化学にはない多様な非特異反応の存目とは異なっている。これらの要因により,各試薬における管理血清は指定外のものを用いた場合のメーカーの保証はなされないことが多い。 免疫検査では測定値のキット間差が大きい項目が多い。これは試薬に用いられている抗体や抗原がキットごとに異なることや,反応の場となる反応緩衝液のpHが異なること,さらには定量測定の検出方法についても各測定機器独自の技術が用いられるなどの要因による。また,標準物質については,免疫検査でもホルモン検査を中心に多くの項目で認証標準物質が定められているものの,単純にその標準物質を用いて検量線を作成しても標準化は難しく,多くの項目でその試みがなされたが不調に終わっている。しかし近年,疾患の診断基準に基準の数値が盛り込まれることにより,学会主導で標準化の動きが進んだ項目があり,PSAは試薬ごとの抗体などの改良,RFは基準値設定と方法ごとのファクター補正,TSHはハーモナイゼーションといったように一部の項目で個々の対応により標準化がなされている。ただこの動きは一部の項目であり,腫瘍マーカーは日本医師会の精度管理調査でも方法間変動に6.53~50.47%という幅があるのが現状である。特に糖鎖抗原であるCA19-9(36.01~50.47%)の標準化は永遠の課題ともいえるであろう。 異好抗体や自己抗体,M蛋白など検体固有の異常蛋白による非特異反応以外にも検査項目ごとの試薬の由来による非特異反応がある。特定のホルモン項目において,投与薬物の中間代謝産物との交差反応により偽高値を呈するケースや試薬構成成分と検体中成分の反応などである。また,感染症項目では偽陽性の発生頻度は高く,各項目で0.2~1%程度あるとされている。なお,汎用機測定では反応タイムコースの確認により非特異反応
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