『検体解析―現象と解析方法について―生化学自動分析装置における免疫血清反応編』非特異反応とは非特異反応回避技術■開催日:2024年10月9日(水)■講 師:デンカ株式会社 臨床試薬部小林 亘■生涯教育点数:基礎―20点 免疫学的検査において目的の反応が特異的であると別の反応は非特異的ということになり非特異反応と呼ばれます。真値よりも測定値が上昇する場合と低下する場合があり,その影響は様々です。自動分析法における全ての非特異反応を回避することは困難であることから日常の検査業務において非特異反応のリスクがあることを認識しておく必要があります。非特異反応の原因となる抗体には,結合IgG(抗体)のFc領域を認識する自然抗体,結合IgG(抗体)のF(ab)’2領域を認識する自然抗体,IgG結合部分の構造変化を認識する自然抗体,ラテックス粒子構造を認識する自然抗体などがあります。 非特異反応回避技術の一例をお示しします。試薬メーカーは,これらの一部または全てを組み合わせた総合的な対応を行っています。 ・Fc領域への対応:結合IgG(抗体)のFc領域を認識する自然抗体への対応→酸による化学的処理。 ・Fab領域への対応:結合IgG(抗体)のF(ab)’2領域を認識する自然抗体への対応→R1に非特異対策として正常ウサギIgGを添加。 ・立体構造変化領域への対応:IgG結合部分の構造変化を認識する自然抗体への対応172東京都医学検査 Vol. 53 No. 2 →R2に抗IgM抗体を添加(非特異因子であるIgM型自然抗体を抗IgM抗体でブロッキング)。 ・ラテックス粒子への対応:ラテックス粒子構造を認識する自然抗体への対応→ラテックス表面のコーティング(牛アルブミンを使用してのコーティング)。 “Y”字の下半分の縦棒部分にあたる場所がFc領域(Fragment, crystallizable) “Y”字の上半分の “V”字の部分がFab領域(Fragment, antigen binding) 非特異反応因子の結合IgG(抗体)認識部位非特異反応~解析の流れ~臨床化学検査研究班研修会・免疫⾎清検査研究班研修会 合同研修会―要旨
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