terminate for UIPパターン,alternative diag-別がしばしば困難である。 その後,高分解能CT(high resolution CT:HRCT)の画像パターンを検討し,診断プロセスを進める。CT画像所見にて両側の肺底部,胸膜直下に明らかな蜂巣肺を認めるUIPパターンの場合や,牽引性気管支拡張を認めるprobable UIPパターンの一部の症例については,呼吸器科医と放射線科医で協議を行い,明らかな原因が認められなければ,気管支鏡検査や外科的肺生検を行わずにIPFと診断可能である。ただし,診断確定困難な膠原病や過敏性肺炎などの二次性のUIPパターンが疑われる場合は気管支鏡検査などを検討してもよい2)。 画像パターンがprobable UIPパターン,inde-nosisの場合は気管支鏡検査もしくは外科的肺生検を行いさらに診断プロセスを進める。上記検査の結果をもって,呼吸器科医,放射線科医を中心に病理医,可能であれば膠原病科医を含めた多分野による集学的検討(multidisciplinary discus-sion:MDD)を行うことが診断精度を高めると考えられている4)。IPの診断過程は非常に複雑であり,一度のMDDで確定診断に至らない場合も多い。MDDを行っても最終診断が得られない場合は,分類不能型特発性間質性肺炎(unclassifi-able-IIPs)と診断される。その場合は,経過観察を行い病勢進行の程度を加味して繰り返しMDDを行うことが重要とされている。a)間質性肺炎の血清マーカー IPにおいて,肺胞上皮由来のバイオマーカーであるKL-6,SP-D,SP-Aは高い陽性率を示すため,本疾患を疑うきっかけや,病態のモニタリング,治療反応性に有用であるとされている。また原発性肺癌(特に非小細胞肺癌)組織では,KL-6,SP-D,SP-Aが産生され,肺癌合併時に血清値の上昇をみることがある。さらに,これらのバイオマーカーは,ニューモシスチス肺炎やサイトメガ212東京都医学検査 Vol. 53 No. 2ロウイルス肺炎などの呼吸器感染症や,薬剤性肺炎,放射線肺炎,肺胞蛋白症でも上昇するためこれらの疾患との鑑別を要する。b)膠原病関連自己抗体 IPFやiNSIPでは約10~20%で抗核抗体やリウマチ因子が陽性となるが,高い抗体価を認めた場合は,膠原病の存在を念頭において診断をすすめていく。また,膠原病の診断基準は満たさないが,膠原病類似の身体所見や画像所見を呈する間質性肺炎(interstitial pneumonia with autoim-mune features:IPAF)という概念が提唱され,IPAFを鑑別する目的で必要に応じて膠原病疾患特異的自己抗体の測定を行う。 間質性肺炎の診断に用いられる画像診断の手法は,X線撮影と高分解能CT(high resolution CT:HRCT)である。a)胸部X線検査 胸部X線検査は,手軽で,かつ安価な検査であり,スクリーニングや経過観察において有用である。肺野容積の変化や横隔膜の位置も把握しやすく,肺の容積減少を容易に把握できる。病変の上下方向の分布を直観的に把握しやすく,異常陰影の分布の把握に優れている。早期の陰影の発見には,肺野の血管陰影や横隔膜陰影の不鮮明化などの所見が有用である。b)高分解能CT(high resolution CT:HRCT) びまん性肺疾患の鑑別疾患を進める上で,HRCTによる詳細な評価は非常に重要である。HRCT画像読影の基本は,二次小葉内部における病変の分布に着目して行う。小葉内の病変分布に着目することにより,既存構造との関連性を把握し,病変の性状や病変の進展様式の推定に役立つ。二次小葉内の分布は,小葉(細葉)中心性分布,小葉(細葉)辺縁性分布,広義間質(リンパ路)3.画像診断2.血液検査
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