体腔液に含まれる腫瘍細胞は,その原発巣を推定するための重要な手がかりとなりますが,正確な推定には高度な知識と技術が求められます。原発巣推定には従来の細胞診断技術に加え,セルブロック作製が不可欠です。当院での運用方法をもとにセルブロック作製について解説し,それぞれの方法の利点や欠点,細胞診以外での運用方法などのセルブロック作製の実践的なプロセスについて詳述しました。 標本作製における標準化と精度管理の重要性にも言及します。標準化は異なる施設や作製者間で一貫した品質の標本を作製するための基盤となり,精度管理はどの施設においても同じ結果が得られることを目指すものです。標本作製における標準化の必要性は,特に臨床検査や診断結果の再現性を高めるために不可欠です。講演では,具体的な事例を基に標本作製の標準化手法を紹介し,運用上のポイントや課題についても説明します。220東京都医学検査 Vol. 53 No. 2Ⅲ.セルブロック作製についてⅣ.標本作製における標準化と精度管理
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