学会抄録 Quotation Scientific Society

学生フォーラム

学生フォーラム
「臨床検査技師の未来」

 
松村 充
(帝京大学医療技術学部臨床検査学科)

 現在、臨床検査技師をとりまく環境はめまぐるしく変化してきている。従来の検査室内での業務から一歩外へ出て病棟業務・認知症領域検査・災害医療・チームワーク医療への参加等により活躍の場を広げようとしている。また、検体採取業務や精度管理等、臨床検査技師法や医療法の一部改正など、臨床検査技師の法的地位が現実化されつつ状況にあるといっていいだろう。
 では、未来を担う臨床検査技師を目指す学生はどのような考えを持っているのだろうか。彼ら、彼女らの「夢」と「臨床検査技師」との接点は何か。今回、学生フォーラム開催にあたり東京工科大学医療保健学部臨床検査学科と東洋公衆衛生学院臨床検査技術学科より選出された代表学生4名により「臨床検査技師の未来」を基調テーマとしてposterの作成や企画運営WGを担当していただいた。
 また、このテーマを基に目指す様々な臨床検査技師の未来について発表する。学生からは「私の臨床検査技師の未来」として東京工科大学医療保健学部、文京学院大学保健医療科学研究科、陸上自衛隊衛生学校から多彩な教育施設の視点にたち、新鮮で率直な考えを話していただく。日臨技からは「学生向け臨床検査技師の未来」として日臨技副会長椙山広美先生にご講演いただく。日臨技の立場からの学生へのメッセージは拝聴している学生や、また現場で活躍している臨床検査技師の指導者にとっても心に響くと思う。特別講演として「臨床検査技師教育の未来」として千葉科学大学保健医療学科危機管理学部三村邦裕先生にご講演いただく。臨床検査技師が生まれた経緯から現在に至るまでの歴史を知り得ることで、未来を語ることができるのではないだろうか。
 私から学生の皆さんへ伝えたいこと。
 皆さんの目指す臨床検査技師像は何ですか。人それぞれ、多様性の目標に向かって努力していると思います。しかし、時に立ち止まってしまうことがあったり、悩みが生じたりすることでしょう。そんな時、仲間の話を参考にし、意見をぶつけてみてはいかがでしょうか。きっと同じような境遇の仲間がいると思います。いつも接している友達の枠を超えて、新たな刺激や友人と出会ってみては。その出会いがあなたの人生を変えるかもしれません。臨床検査技師の業務が大きく変化する可能性があるとしたら、あなたはどうしますか。臨床検査技師の未来はどうなるのか、日臨技の目指す方策とは何か。一緒に考え、情報を共有していきましょう。未来を創るのはだれか。それは、皆さん一人ひとりなのです。さあ、勇気をだして一歩、踏み出してみませんか。

公開講演 健康食品管理士会 第4回関東支部研修会

公開講演 健康食品管理士会 第4回関東支部研修会 講演1 
 
季節ごとの体調不良を改善する薬膳
 
東京栄養士薬膳研究会代表 
海老 原英子

 超高齢化社会の中で漢方治療への関心が高まっている。
漢方治療は西洋医学との統合(統合医療)により、西洋医学の治療で生じる副作用を漢方薬によって抑制したり、鍼灸で認知症など脳・神経系の治療や術後の痛みの緩和などに活用したりする動きが、西洋医学の医師や大学病院などでも見られ、一定の成果を得ている。
 このような状況下で東京栄養士薬膳研究会に所属する管理栄養士・栄養士は現代栄養学と中医学に基づいた中医薬膳学の知識を習得し、現代栄養学と中医薬膳学を併用することで栄養学の問題点を補完するものとして薬膳が重要な役割を果たしてくれると考えている。
 中医薬膳学とは中医学理論に従って、食材や中薬を用い健康維持と増進、疾病の予防と治療および回復などを目的とした学問である。食材や中薬がもつ五気五味、帰経、効能と応用法などを研究し、年齢、性別、体質、季節や生活環境などに合わせた食生活を提案するものである。

1.季節と薬膳の基礎知識
 (1)陰陽論:あらゆるものを陰と陽に分け対立した関係にあるという理論である。
 (2)五行論:すべてのものを「木・火・土・金・水」の五材に分類する理論である。
 (3)整体観念:人体と自然環境・社会環境との統一性を意味する理論である。
 (4)食物の五性・五味:食物や中薬には、熱性・涼性・平性・涼性・寒性の五性と酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味の五味の効能がある。その性質を利用し季節、体質、体調などに合わせて使い分けている。
 (5)臓腑の考え方:人間の内臓を五臓六腑で表し、五臓と感情の関係は中医学の特徴である。
  肝と胆~怒 心と小腸~喜・驚 脾と胃~思・憂 肺と大腸~悲・憂 腎と膀胱~恐・驚

2.季節ごとの体調不良と薬膳
 (1)春は立春(2月4日頃)から:(1)陰陽は「陰消陽長」、(2)五行は木、(3)五臓は肝、(4)五気は風、(5)春に見られる体調不良には風邪、花粉症、頭痛、不眠、うつ状態などがある。
  (6)改善する薬膳処方は辛温発散(気の流れをよくする)、益気養血補肝(気血、肝を補う)
  使用する食材:葱、生姜、紫蘇、セロリ、せり、たらの芽、菜の花、ほうれん草、人参、レバー

 (2)夏は立夏(5月6日頃)から:(1)陰陽は「陽気旺盛」、(2)五行は火、(3)五臓は心、(4)五気は暑、➄夏に見られる体調不良には喉の渇き、食欲不振、無気力、不眠、熱射病、夏バテなどがある。
  (6)改善する薬膳処方は清熱解毒(熱を冷ます)、滋陰生津(栄養や水分を補給する)
   使用する食材:セロリ、苦瓜、レタス、胡瓜、緑茶、かに、豆腐、とまと、西瓜、レモン、牛乳

 (3)梅雨の時期(6月中旬~7月中旬):(1)陰陽は「陽長陰不衰」、(2)五行は土、(3)五臓は脾、(4)五気は湿、➄梅雨によく見られる体調不良には食欲不振、頭痛、関節痛、浮腫、下痢などがある。
  (6)改善する薬膳処方は補気健脾(脾の運化機能低下を補う)、理気利湿(気を巡らせ体内の湿を排出)
   使用する食材:米、とうもろこし、芋類、きのこ類、肉類、鱈、鰯、鰹、香菜、グリンピース

 (4)秋は立秋(8月8日頃)から:(1)陰陽は「陽消陰長」、(2)五行は金、(3)五臓は肺、(4)五気は燥、➄秋によく見られる体調不良には口・喉・皮膚・毛の乾燥、便秘、空咳、喘息などがある。
  (6)改善する薬膳処方は滋陰潤肺(体内の乾燥を防ぐ)、補気温肺(身体を温め、肺気を養う)
   使用する食材:きび、松の実、白ごま、百合根、山芋、柿、牛乳、餅米、胡桃、黒ごま、蜂蜜

 (5)冬は立冬(11月8日頃)から:(1)陰陽は「陰盛陽衰」、(2)五行は水、(3)五臓は腎、(4)五気は寒、➄冬によく見られる体調不良には冷え、風邪、神経痛、足腰が怠い、肌荒れ、浮腫などがある。
  (6)改善する薬膳処方は温裏袪寒(身体を温め冷え予防)、滋陰補腎(腎の精血を補う)
   使用する食材:にら、生姜、唐辛子、山椒、羊肉、海老、小松菜、百合根、魚貝類、豚肉、乳製品

公開講演 健康食品管理士会 第4回関東支部研修会

公開講演 健康食品管理士会 第4回関東支部研修会 講演2 
 
農林水産物の健康機能性と機能性表示制度を活用した食品開発
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構) 
山本(前田)万里

 
 日本では人口減少と超高齢化が急速に加速するとともに、生活習慣病罹患者やその予備軍が増加している。生活習慣病については、食生活の乱れや運動不足等に起因するとして食を巡る健康への問題がクローズアップされている。2015年に施行された機能性表示食品制度は、一般加工食品やサプリメントの他、「生鮮食品(単一の農林水産物のみを原材料とする加工食品も含む)」も対象とされたこと、国ではなく事業者自身が安全性や機能性について責任を持つこと、届出制であり届け出られた情報は消費者庁のホームページで販売前に公開されること、機能性としては「身体の特定の部位の表現」や「主観的な指標による評価」が認められたことが「トクホ」と大きく違う点である。
 機能性表示食品として届出・受理された食品は2338品目(撤回201目)(2019年9月5日現在)であり、そのうち生鮮食品では、ウンシュウミカン(機能性関与成分はβ-クリプトキサンチン;骨の健康の維持)、大豆もやし(イソフラボン;骨の健康の維持)、リンゴ(プロシアニジン;体脂肪低減)、ほうれん草(ルテイン;目の健康の維持)、カンパチ(DHA/EPA;血中脂質低減)、鰤(DHA/EPA;認知機能の維持)、米(GABA;血圧上昇抑制)、トマト(GABA)、ケール(GABA、ルテイン)、唐辛子(ルテオリン;血糖上昇抑制)、卵(DHA/EPA)など36品目が、また、単一の農林水産物のみが原材料である加工食品では、緑茶(メチル化カテキン;ハウスダストによる目や鼻の不快感軽減)、蒸し大豆(イソフラボン;骨の健康維持)、大麦(β-グルカン;血糖上昇抑制)、無洗米、冷凍ほうれん草、数の子、寒天などが届出・受理されている。
 機能性表示生鮮食品開発では(1)機能性関与成分のばらつき安定化のための栽培・加工的制御技術の開発、(2)農産物に特化した臨床試験のあり方(新たな機能性評価手法開発、プラセボ、盲検性、喫食の持続性等)、(3)複合的な作用の検証方法、(4)機能性関与成分を多く含む機能性農産物の開発、(5)消費者が機能性食品を適正に喫食するための教育と情報発信、のような解決すべき課題がある。
 内閣府規制改革実施計画(2017年6月9日閣議決定)の中で、生鮮食品の機能性表示食品制度の活用促進が指摘され、機能性表示食品制度のガイドラインが以下のように改正された。
生鮮食品は機能性が報告されている一日当たりの機能性関与成分の量に占める割合(50%以下)を表示することができるようになった(「本品にはA(機能性関与成分)が含まれ、Aを▲mg/日摂取すると、Bの機能がある(機能性)ことが報告されています。本品を○個食べると機能性が報告されている一日当たりの機能性関与成分の量の△%を摂取できます。」)、ガイドラインのQ&Aの充実、生産者等が利用可能な農研機構の公開研究レビューの充実、食薬区分の見直しでγ-オリザノール、デオキシノジリマイシンが機能性関与成分として使用可に、軽症域(アレルギー、血中尿酸値、認知機能)の基準の明確化等。
 今後の課題としては、農林水産物や食事の機能は長期の持続的な喫食で発揮されることへの理解を促すことが必要である。機能性食品の情報を若い世代からしっかりと伝え、自分の健康を自分の食べる食品で手に入れる「食による予防、医食同源」の考え方を身につけさせ、かつその有効な活用法を伝える教育が必要である。